2014年6月28日土曜日

東京都議会でのヤジに思う

2014年6月18日に起こった、東京都議会での塩村議員の質問中でのヤジは、日本だけではなく、世界17カ国のメディアでも取り上げられた。
興味深いのは、日本のメディアと海外のメディアでは、問題意識が大きく違ったことである。海外では、「セクシャルアビューズ」(性的虐待)として取り上げたメディアもあった。
慌てた日本のメディアは、それに対応する形で、これが女性の人権に関するものであることを、少しだけ取り上げるようになった。
CNNの記事は、私自身の感覚に近いものである。
http://www.cnn.co.jp/world/35049729.html

 その後、自民党の鈴木章浩議員が自分が言ったことを認めた。その朝には、「自分ではない」と言い、事件の直後には、「そういう議員はやめるべきだ」とまで言った鈴木議員。実際には、会派離脱しただけで、議員を続けていくと宣言した。
http://www.cnn.co.jp/world/35049839.html

 私達は、その動きを大変興味深く観察していた。夫婦の間でも、何が起こっているのかということについて話し合った。
 そこで見えてくるのは、日本社会の中に厳然と存在している女性蔑視の考え方だ。私達は、牧師として活動しているので、日々のオフィスで起こっているであろうセクハラやパワハラには出くわすことは無い。しかし、この事件を通してどれだけ多くの女性達が、今回の事件に象徴される扱いを受けてきたかを想像して、心がうずいた。

 私達に何が出来るのだろう。何をすべきなのだろう?
聖書には、「妻は夫に従いなさい」とある。しかし、その直後に「キリストが教会を愛したように、夫は妻を愛しなさい」ともある。もし、夫が命がけで妻を愛しているなら、夫に従う(原語では、「尊敬する」という意味)のではないか?この言葉は、決して男尊女卑を、聖書が勧めているのではないと考えている。しかし、女性を支配したい人々にとって、これは都合の良い言葉である。
 イギリスのダイアナ妃は、チャールズ皇太子との結婚式で「従う」という言葉を削除するように主張したという。それはもしかしたら、自分が命がけで愛されないことを知っていたからかもしれない。


 鈴木議員の「早く結婚しろ」のヤジは「少子化・晩婚化の中で、結婚していただきたい思いがあのような発言になった」と鈴木氏は釈明した。幼稚園生でも言わないような見え透いた釈明だ。もし、彼がこの問題の本質を理解していたなら、たとえばこう釈明しただろう。「私は今まで、女性の人権について軽視してきました。今回の発言は、女性全体に対する大きな侮辱であり、人権侵害であることを認め、心から謝罪いたします。ヤジを言ったという事実だけではなく、私の心の中に、そのような間違った意識があったことに、私は気付かされました。私は議員を辞職し、心を入れ替えて、一から女性だけではなく、人々の人権と尊厳について学ぶつもりです。本当に申し訳ありませんでした。」
そういう言葉を聞きたかったと思う。

 私達が日本社会にインパクトをもたらすことが出来るとするなら、それは私達家族や教会全体が、良いモデルになることではないだろうか。良いモデルとは何か?私自身もまだまだ学ばなければならないことが山積みであることを痛感した。